黙然日記(廃墟)

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産経論説委員の軍服観。他。

【主張】第三極 より明確な国家観を示せ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121110/stt12111003230001-n1.htm

 産経が「国家観がある」と言うとき、それは、改憲・戦前回帰・軍事優先といったイデオロギーを意味します。それ以外の、たとえば「平和国家を建設する」という国家観は、国家観として認めてもらえません。たとえばこの「主張」でも、みんなの党アジェンダを《「小さな政府」以上の国家像が見えてこない》と否定しています。こんなに明快な国家観を持っている政党はいまの日本で珍しいと思うのですが(わたしがみん党を支持するという意味ではありませんよ)、産経の考える“国家観”に合わないから、みん党のアジェンダは否定されてしまうわけです。明確な国家観を持っている別の政党がたちあがれ日本(来週には名前を変えますが)で、ここの主張は産経の国家観とぴったりですから、たち日中心に第三極は結集せよ、と言っているのと同じことです。なんて都合のいい「主張」でしょう。

【土・日曜日に書く】論説委員・皿木喜久 「反軍」は中国を利するだけ+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121110/plc12111003210005-n1.htm

 見出しそのまんまの主張で、呆れてしまうわけですが。米軍基地や自衛隊に文句をつけることは一切まかりならん、なぜなら中国の脅威があるからだ。……どっかで聞いたような理屈です。この道はいつか来た道。
 大正デモクラシーの時代は反軍の気風が強く、軍人は軍服を着て待ちを歩けなかった、というエピソードが引用されています。かといってたとえば連絡業務にいちいち着替えていたはずはありませんから、これは「用もないのに軍服姿では歩けなかった」というぐらいの意味でしょう。それならそれで、当然のようにいまの我々からは思えます。さらに、その平和主義は第一次世界大戦を終えた欧州から押しつけられたものだ、と妙ちきりんな論になっていきます。
 そして皿木記者は《昭和の時代となると、これに危機感を持った若手のエリート軍人たちが、さまざまな事件を起こしながら、軍のステータスをあげていく》と述べているのですが、2・26事件や5・15事件を「さまざまな事件」で片づけられてはたまりません。軍のステータスが上がったというより、誰も逆らえなくなっていったと言うべきところでしょう。とても民主主義国の新聞論説委員の発言とは思えません。