産経「主張」とNHK提訴と審議開始。
昨日ここで取り上げた二つのニュースが、そろって「主張」にも取り上げられています。首相交代級のニュースならともかく、さすがにこういうのは珍しい*1。
【主張】NHK番組 訴訟を機に徹底検証せよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/271209/
「日台戦争」「人間動物園」といった表現を訴えていることに、「いずれも聞き慣れない言葉だ」と理解を示しているのですが、聞き慣れない、知られざる事実だから放送で取り上げる価値があるわけです。そのとき実際に使われていた"human zoo"という言葉を、「人間動物園」以外になんと訳せばいいのでしょうか。
また、いつものとおり放送法を引き合いに出して、両論併記でなければならないとしているのですが、公正中立のルールは新聞にも適用されます。人間動物園という事実はあったのに、今まで産経新聞の台湾植民地に関する記事で、一度でも触れられたことがあるのでしょうか。
【主張】児童ポルノ 根絶へ所持規制は不可欠 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/271210/
というわけで、来ましたよ。従来、一般記事や外部筆者による「正論」欄でこの問題を取り上げたことはあったものの、「主張」欄では初めての元きゅになると思います。オピニオンを明確にしていないことで、「産経は少なくとも慎重派と見ていいのではないか」という考えに傾いていたのですが、やはりこうなりましたか。山谷えり子・自由民主党女性局長が動いたあたりでキャンペーンに参加しなかったのは、いまだに謎ですが*2。内容についてはこれは予想どおり、自民公明与党と警察当局と米国(共和党政権・シーファー前駐日大使)の言い分そのままです。
この「主張」では単純所持だけで、他の規制派メディアのようにかこつけて二次元規制まで持ち出してはいません。ただ、結びの一文で、例によって微妙な嘘を混ぜていますね。「与党案も民主党案も、子供を性的対象とすることに反対の立場であることは一致している」のところですが、反対の立場にある(そして現行法ですでに取り締まれている)のは、「子供を性的虐待すること」です。「子供を性的対象とする」表現に反対する立場というのは、“準児童ポルノ”として二次元規制を求める側の発想、与党案に検討条項として含まれている考え方です。衣の下から鎧が見えた、ということでしょうか。