黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

福田辞任・各紙社説読み比べ。

 まあそんなわけで、恒例の読み比べです。東京新聞以外は*1通常2本分のスペースを1本の社説で使っています。順不同、というかほぼ部数順になってしまいましたが。

福田首相退陣 政策遂行へ強力な体制を作れ(9月2日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080902-OYT1T00145.htm?from=any

 読売新聞は解散総選挙をおくびにも出さず、「空白は許されない」という言い方で現連立政権の維持を求めています。読売の社説としては当然、といえばそうなのですが、部数第一位の新聞がここまで空気読めないというのも困ったものです。産経ならともかく。
 そのほか、首相を辞任に追い込んだ公明党に批判的なことをほとんど書かず、再結集を促しているあたりが注目されます。ただしこれは、べつに公明党を支援しているわけではなく、三分の二確保のために黙って自民に従えという意図だと思われます。

福田首相辞任―早期解散で政治の無理正せ - asahi.com
http://www.asahi.com/paper/editorial20080902.html

 朝日新聞解散総選挙で民意を問うことを強く求めています。それはいいのですが、「場合によっては、国民に痛みを強いる選択も避けられまい」という結びが気になります。まだ小泉路線の幻影に酔っているのか。

社説:首相退陣表明 またも無責任な政権投げ出し - 毎日jp
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080902k0000m070183000c.html

 毎日新聞解散総選挙を求めています。いつものことですが、バランスがよすぎて(表現を変えれば総花的で)言及しづらいなあ。

社説 解散戦略描けず行き詰まった福田政権(9/2) - NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080901AS1K0100A01092008.html

 日本経済新聞も次期首相に早期解散を求める点は同じですが、返す刀で小沢民主党も厳しく批判していて、他紙とは一線を画しています。ここで代表選をすれば存在感を示せるのは確かですし、まだ無投票が決まったわけでもないので、個人的にはこのへんでなにか起きることを期待しているのですが。

福田退陣表明 二代続けて投げ出しか - 東京新聞社
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008090202000113.html

 東京新聞は「いたずらな政治空白はもはや一刻も許されない」と結んでいて、そこだけ見ると読売と同じようなのですが、実は自公政権そのものが政治的空白だという強烈な批判で、総選挙(というより直接的に政権交代)を求める文章です。

【主張】福田首相辞意 空白抑え強力な政権を 党利党略超えた政治に戻せ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/175016/

 さてさて。やはりこの産経新聞「主張」の醍醐味は、前首相の政権投げ出しにまったく触れていないあたりでしょう。「安倍晋三前首相」のあの字も出ていないのはもちろん、「昨年9月に就任したばかり」「首相が1年足らずで政権を投げ出した」という表現すら、まったく出てきません。同じような経緯をたどった前任者の存在を極力読者に思い出させないようにする、涙ぐましい努力が行間からうかがえます。
 解散総選挙とかしている暇はない、という論調では読売と一致しますが、どうも根本のところに、「選挙なんてめんどくさいことはやらなくていいから、『(産経の考える)国益』を最優先しろ」という感覚がかいま見えます。改めて読み比べてみると、ほんとに産経は異質だなあ。だからウォッチのやりがいもあるのですが。

*1:東京のもう1本も民主党代表選挙に関する内容で首相辞任にも触れています。