黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

古森義久氏、ラジオを聴く。

ラジオのトークショー政治評論家が大統領選挙を揺さぶる――保守派ラムボウ氏の「混乱作戦」 - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/573980

 まずは、このエントリの見出しにもなっている、ラジオパーソナリティー兼政治アジテーターの名前について。古森氏が書いている「ラッシュ・リムボウ」で検索すると、古森氏の書いた記事しか出てきません(引用含む)。もしかして、と思い「ラッシュ・リンボー」で検索したら、これははてなキーワードにもWikipediaにも登録されていました。綴りは"Rush Limbaugh"なので「リムボウ」という表記の方が正確なのかもしれませんが(しかしそれにしても「リンボウ」ではないでしょうかね)、どうしたもんでしょうか。在米の人にとっては、彼の名前を綴りで見るよりラジオで聞く機会の方が多いと思うのですが、古森氏の耳には「リムボウ」と聞こえているんでしょうねえ。いちいちカタカナ変換するのが面倒なので、こちらは以下「リンボー」と表記します。*1

 さてそのリンボー氏のラジオ番組「ザ・ラッシュ・リンボー・ショー」について、古森氏は「その放送はなんと月曜から金曜まで連日、3時間、全米に流されます」と表現していますが、そんなに驚くことでしょうかね。日本のAMラジオでもそのぐらいのタイムテーブルは普通です。フジサンケイグループニッポン放送を例に取ると、平日タイムテーブル*2は朝4時半から夕方17時25分までの13時間近くで、6本の番組枠しかありません。「上柳昌彦のお早うGood Day!」が朝6時からの2時間半、続く「あなたとハッピー!」(パーソナリティー垣花正)が3時間の枠で、いずれも月〜金の連日放送しています。ニッポン放送よりはもう少し人気があるだろうTBSラジオでは、「大沢悠里のゆうゆうワイド」が朝8寺〜昼13時までの5時間枠になっています。少なくとも日本では、NHK第一を含めて、AMラジオというのはそういうタイムテーブルが一般的のようです。もっとも、日本の昼間のラジオワイド番組は一人のパーソナリティーが3時間しゃべりっぱなしというわけではないので(もちろん全部聴いているわけではないので、たぶん、ですが)、リンボー氏の番組が週15時間しゃべりっぱなしだったら、それはたしかに驚くべきではあります。
 あと、ツッコむのもあほらしいのですが、「ザ・ラッシュ・リンボー・ショー」の聴取者数について。古森氏は、「全米で一日2000万とも3000万とも言われています」と述べたあとに「ラジオ放送の専門調査では毎週1400万という数字も出ています」と続けています。その聴取者3000万人の根拠はなんですか。1週間ののべ聴取率が5%ほど(1日あたり1%、と換算していいのかわかりませんが)というのは、ラジオとしてはたいした数字なのですから、それだけ書いておけばいいものを。


 例によって産経新聞に掲載した記事を丸ごと転載しているのですが、今回は銀はがしクイズはなしです。いったんネットに上がった記事のコピペではなく、おそらく原稿からのコピペなんでしょうね。

リムボウ氏が共和党支持者にクリントン氏への投票呼びかけ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080511/amr0805112259006-n1.htm

 以上前振りでした*3
 さてこのカリスマパーソナリティーのリンボー氏は、「混乱作戦」と名付けたある企画を勧めていたそうです。民主党の大統領予備選が混乱すればするほど共和党が有利になる、という理由で、共和党員(あるいは面白がりの無党派層)が民主党員として登録し、予備選でクリントン候補に投票する、というものだそうです。有権者全員が対象となる本選挙と違い、民主党予備選はごく少数がキャスティングボートを握れますし、もともと接戦でもあるわけですから、人口の1%が動けばかなりの影響が出るでしょう。たしかに結果を見ていると、今回の予備選が不必要に混乱しているのは確かです(2000年の本選挙よりはマシですが)。昨日13日にもウエスバージニア州予備選でクリントン氏が勝利し、まだ決着がつかない状況になっています( http://sankei.jp.msn.com/world/america/080514/amr0805140927003-n1.htm )。
 このリンボー氏の「混乱作戦」を、古森氏はまるで快挙であるかのように報じていますが、二人ともジャーナリストとしての倫理観というものはないのでしょうかね。それよりも、共和党支持のお二人は、マケイン候補の身辺を心配した方がいいんじゃないかと思うのですが。

マケイン陣営幹部が辞任 経営企業がミャンマー軍政から報酬 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/144141

おまけ・古森氏ドイツへ征く。

日独パートナー会議がドイツで開催 両国から約150人が参加 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/142579/

 検索していてたまたま見つけた、ベルリンの黒沢潤記者による5月4日の記事です。今の日独協会会長は古森重隆NHK経営委員長だったんですね。そして記事中に、唐突に古森義久氏の名前が出てくるのですが、このイベントに参加していたのでしょうか。お二人が同席した会議はかなりややこしいことになったのではないかと、よけいな心配をしてしまいました。
 いやそれはともかく、古森義久氏とドイツに関わりがあるというのは初耳でした。いつのまに訪独していたのでしょう。このイベントはドイツ時間で5月1日〜3日の開催だったようですが、古森氏は日本時間5月4日1時59分=ドイツ時間3日19時59分にblogの更新をしていますね。その前は、日本時間5月1日3時47分=ドイツ時間4月30日20時47分にコメントを書いています。3日間のイベントにフル参加していたわけでもないでしょうが、それぞれの書き込みをしたのがワシントンからだとすると、ほとんどとんぼ返りのスケジュールですね。また、コメント欄を含めて「ドイツへ行ってきた」という言及もないようです(帰日したことも基本的には書かない人なので、それは不思議ではありませんが)。この記事に名前が出ている日本側出席者は、駐独大使と日独協会会長(古森重隆氏)・副会長、そして古森義久氏だけです。産経新聞社がバックアップしたとか、そんな事情があるのでしょうか。
 ついでに、ドイツといえばクライン孝子氏ですが、東京の日独協会には関わっていないようです(湘南日独協会の名前は日記に出てきますが)。よかったよかった。ここで“ドイツ出羽守"まで絡んできたら、日独関係の将来に大きな不安を持たざるを得ないところでした。もっとも、両古森氏の名前が並んでいるだけで、不吉な予感もなくはないのですがね。
 かなり大きな会議のようなのに、報じているのがこの産経記事だけだというのも、たとえ主催イベントだったとしても、やはり不思議な気がします。そもそも日独協会のサイト*4を見ても、この会議に関する記述がまったくありません。サイトのイベントカレンダーには5月1日に会合があったという記述はあるのですが、場所は東京です。それどころか、代々木の和民です。たぶん留学生向けの親睦会でしょう(しかし和民か……偶然だろうとは思いますが)。

*1:ちなみに、リンボーダンスは"Limbo"です。やっぱりmのあとにbがあると「ン」という表記になりますよねえ。産経新聞の英語表記も"The Sankei Shimbun Newspaper"だし。

*2: http://www.1242.com/timetable/index_day.php

*3:ていうか今回、前振りとおまけに異様に時間を食われています。

*4: http://www.jdg.or.jp/index.html