黙然日記(廃墟)

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産経、墨守する。

日切れ法案が切れたら…短期間に物価乱高下も-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/116741

 日切れで暫定税率が一時的に撤廃されたら、社会が大混乱に陥ると警告しています。
 そりゃたいへんだ、民主党なんかの好き勝手にさせちゃいけない、政府与党はがんばって強行採決でもなんでもして現状維持してもらわなくちゃ。……なんて素直に思う人が、どのぐらいいるんでしょうかね?(産経読者にはあんがいいるのかもしれませんが)。
 この記事では、たとえばガソリンスタンド店頭の混乱について、こんな予測をしています。

店がオンラインで管理する出荷や販売のシステム改修も必要だが、応急処置なら手作業になる。伝票と計量器の数字が異なり、ドライバーと店員との間でトラブルは避けられない。

 ……システム丸ごと改修する必要があるの? 店頭価格なんて毎日のように変わっているのに、あれぜんぶ手作業でやってたの? 「1円下げる」「2円上げる」とやってたところを、「25円下げる」と入力するだけじゃないかと思うのですが。まさか2ケタの変更に対応していないなんていう、Y2Kのときみたいなシステムじゃないでしょうし。そもそも、伝票って計量器の数字をそのまま打ち出してませんか? この記事は、いったいどんな事態を想定しているんでしょう。揮発油税暫定税率変更は最近では1993年、その後1997年に消費税率も変わっていますが*1、ガソリンスタンドでどれだけのトラブルがありましたっけ。少なくとも「消費税は上がる(可能性がある)もの」という認識が広まってから10年以上経つのですから、税率をパラメータ化してすぐに変更できるようになっていないシステムなんて、考えられません。
 もうひとつ、暫定税率の期限切れで牛肉などの輸入関税は上がるのですが、この記事ではこれを「外食産業の収益を圧迫し、政策不況を招く」としています。輸入牛肉の価格が少し上がる(138.5円→150円)だけで不況になるのか? もともと農畜産物の価格は変動するものだし、昨今の原油高・穀物高による値上げや、米国産牛肉の輸入禁止に比べたら、この程度の価格変動なら織り込み済みではないかと思うのですが。
 もちろん、各種暫定税率の撤廃に社会的影響がないとは言いませんが(だから政局の焦点になっているのだし)、この記事が煽るような事態がはたして来るのかどうか。まあ、「ひたすら現状維持」を訴えるということなら、産経新聞はまさに保守、とは言えるかもしれません。「旧弊墨守」と言った方が正しいかもしれませんが。

*1:最近あまり話題にならないけど、ガソリン税と消費税の二重課税もひどい話だよねえ。