黙然日記(廃墟)

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産経の安倍独占インタビュー。

安倍前首相「年明け活動再開…良質な保守さらに拡大を」-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/111700

 辞任の経緯などを説明していますが、公式見解以上のものではなく、なぜ所信表明演説後に突然辞任を決断したのかという説明にまったくなっていません。体調が悪かったのが事実だとしても、数日で急変するような状況だったのでしょうか? 辞任表明の時点では、健康問題にはまったく触れていなかったのに。病院で検査を受けたのは表明の翌日で、そのまま入院したことで初めて健康問題が明らかになったという経緯ですから、辞任表明時点では健康面で任務を続けられないという根拠はなかったわけです。辞任表明で健康問題に触れなかったことについてもなにか言っていますが、「次の首相にバトンタッチするまで」ということなら入院したこと自体が問題だし、次の首相指名まで臨時代行を立てなかったことの説明にもなりません。――彼が精神的な症状で辞任したことはもちろんわかっていてこのように突っ込んでいるのですが、精神面で問題を抱えていたことを(事実関係を無視してまで)否定するのは誠実な態度ではないし、精神症状に苦しむ多くの国民に対する侮辱でもあるでしょう。
 安倍首相が「保守」を名乗っていたがために、彼の強引な手法と無責任な結末が日本の健全な保守にまで不信感をもたらしてしまったことの責任などは、この記事からはみじんも感じられません。それどころか、まだ「良質な保守」の旗頭でいるつもりのようです。


 全体にこの記事は、安倍氏へのインタビューというよりは彼の発言をそのまま紹介するような形になっています。上記のような矛盾点を突っ込んでこその「インタビュー」であり、まさに看板に偽り有りといった記事です。産経新聞が(福田自民党に逆らってまで)安倍氏や周辺の広報機関であることは止めないということへの、この記事そのものがひとつの表明なのでしょう。