黙然日記(廃墟)

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古森義久氏とカードゲーム。

 さて、5日分のネタが溜まってしまったわけですが、さしあたってはやはりこのへんからいきましょうか。

米国内の反日集団の実態ーー『中国「反日」の虚妄』(文春文庫)古森義久著から
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/231045

 自著の宣伝記事ですね。文庫化にあたって書き下ろされた「文庫版あとがき」がまるごと転載されているので、親本を持っている人は文庫版を買う必要がないという、とてもお得なエントリです。もっともわたしは親本を持っているわけではないんですが、ここ1年ぐらいの古森氏の中国関連記事は一通り読んでいるので、特にこの本を買う必要はなさそうだなあ。あいかわらず抗日戦争史実維護連合会抗日連合会と略して平然としているところを見ても、なんの進歩も変化もなさそうだし。
 とりあえず「あとがき」を読んだだけでも、古森氏のものの考え方はやはりユニークだなあ、ということがよくわかります。「中国側は日中首脳会談では必ず『歴史』を声高に語ってきた。『歴史を鑑(かがみ)として未来に向かう』という教示は、いつも中国側から日本側に対してのみ伝えられた」と非難めいた文章に続けて、昨年11月以後の日中首脳会談で歴史問題が取り上げられていないことを、いかにも重大問題であるかのように述べています。古森氏は、日中首脳会談で歴史問題を取り上げてほしいんでしょうか、それとも取り上げてほしくないんでしょうか。そして、日中関係では中国が一枚上手だという単純な事実を、さも相手が悪質だと言わんばかりにすり替えてしまうテクニックは、見習いたいものです。

 古森氏は国際政治の専門家でわたしはド素人ですから、釈迦に説法をするような真似もおこがましいのですが、外交というゲームでは“使えるカードを有効に使い、使わない方がいい局面では使わない”というのがセオリーですよね。「手持ちのカードを出さないのは卑怯だ」という非難は、小学生の七並べあたりまでは通用しますが、大人の勝負で10円でも賭けるようになったら、言う方が間抜けです。ましてこの勝負のチップは、13億人対1億3000万人の生活と安全なのですから、非難されるべきはカードの扱いも理解せずにゲームに挑んだプレイヤーの方ではないでしょうか。どういうわけか古森氏は、この小学生なみのプレイヤーに異様に肩入れして、どう見ても負けそうなことはわかっているのに「勝てるはずだ、負けそうなのは相手が卑怯だからだ」と言い張ることに熱中しているようですが、このお話はまた今度。