黙然日記(廃墟)

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古森義久氏、陰謀論を唱える。

慰安婦」から「南京」へーー抗日連合会の触手 文藝春秋から
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/137462

 テッド・レオンシス氏製作の映画『南京』に関する産経新聞の第一報が*1レイプ・オブ・南京』が原作であるかのように吹聴したことを、古森氏はいまだに撤回する気がないようです。というか、今でもそれが正しいと信じ込んでいるのかもしれません。間違ったとわかってからここまで詭弁を弄するのは、まともな感覚の人間だったら考えられませんから。

 文藝春秋4月号に掲載されたというこの古森氏の記事は、まずおおざっぱな背景説明のあと、記者会見でレオンシス氏が述べた「南京事件のことを知ったのは偶然『レイプ・〜』を読んだから」というようなコメントを引用してから、しかし『レイプ・〜』はこんなにひどい本である、と(古森氏の主観で)並べ立てます。

(『レイプ・〜』では)中国の民間人合計三十万以上、あるいは三十五万が日本軍によって殺されたとし(中略)
(映画『南京』では)犠牲者の数が二十万人とされてはいるが、これだけでも基本的には『レイプ・オブ・南京』の記述や中国側の主張が映画の土台であることがわかる。

 これだけでも基本的には、『レイプ・〜』そのものではないことがわかるわけですが。チャン氏の本は、レオンシス氏が映画製作を思い立ったきっかけであって、そのあと独自に調べ直しているということが、つまり映画『南京』は『レイプ・〜』を土台にしていないということが、この古森氏の文章からでもはっきり読みとれます。チャン氏は、犠牲者二十万人説を唱えたわけではないのですから。
 えーとつまりですね。たとえばわたしの世代は、太平洋戦争のことを“自虐史観の偏向教科書”で知りました。しかしそれはきっかけであって、独自に調べ直して自慰史観に転向する人もいるわけです。その是非はともかくとして、自慰史観の論者に「あなたの書いた太平洋戦争の本は自虐史観教科書を土台にしているはずだ」と言ったら、かなり怒るんじゃないでしょうか。
 こんなに話をねじ曲げてまで、この映画がチャン氏の本を元にしていると訴えるのは、どういうつもりなんでしょうか。冒頭で述べたような最初の間違いを、意地でも認めたくないだけ、としか思えないのですが。

 記事の後半では、世界抗日戦争史実維護連合会という“中国政府に繋がる反日組織”が、いかにあちこちに魔の手を伸ばしているかを延々と説明しています。

このように南京事件ドキュメンタリー映画一つを追ってみても、すぐにこうした中国系の反日団体にぶつかるのである。

 なんというか、ユダヤ陰謀説に似てきましたね。個人的には、安倍壺三やら山谷えり子やら産経新聞やらを追ってみると、すぐに日本会議勝共連合統一協会)にぶつかるのと似たような印象も受けるのですが、これについて古森さんはどう思うんでしょう。

 ついでに。

AOLの副会長テッド・レオンシス氏である。彼が制作に私財二百万ドルを投入したという。

 あんまり関係ないんだけど、この文章を見てふと思い出しました。日本でもメディア企業の経営者が、私財2億円を投入して南京事件ドキュメンタリー映画を作るとか言っていますな。古森さん、こちらの背後関係も調査してくれませんかね? *2

*1: id:pr3:20070125:1169721821 とか参照。これは山本秀也記者の記事なのですが、だとするとやはり古森氏の影響が見え隠れするなあ。

*2: id:pr3:20070319:1174264344