黙然日記(廃墟)

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意図的な誤報について。

 http://d.hatena.ne.jp/pr3/20050627/1119834148で書いたことについて、事実誤認というか誤報に騙されたらしいという話。深く反省する次第であります。
 詳しくはid:kitano氏の記事を参照してください。http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050626


 この件、騙されるよね。2ちゃんでも(ニュー速系以外でも)かなり騒ぎになっていたし。まさか読売新聞と共同通信がいっしょになってここまでやるとは思わないし。でもネット上に一次情報が出ているわけだし、出ていること自体は容易に推測できるわけなので、確認を怠ったbloggerとしてのわたしの落ち度です。重ねて反省する次第であります。
 相互チェックを目的とした三権分立(司法・立法・行政)に対して、さらにチェックを重ねる第四権力としてのマスメディアがあり、そしてこの第四権力が怪しくなってきた現状に対し第五権力と言うべきネット(特に掲示板とblog)が役割を果たしはじめている、という認識が必要なわけですが、今回はこれがうまく機能した好例ではないかと思います。
 マスメディア批判の役割を自認するbloggerは、同じだけの責任を負っていることを自覚しなくてはならない。
 これが意図的な誤報なのだとしたら、もしかしたらこういう自覚を促すことが目的だったのではないだろうか、などと皮肉なことを考えてみました。ありえねぇって。

パソ通時代。

 上記の記事には全面的に感服するのですが、一つだけ指摘させてください。コメントにしようかと思ったけど長くなるのでこちらで。
 kitano氏はインターネットの匿名性の起源をNTT回線開放以後、いわゆるパソコン通信に求めていますが、はたしてそうだろうか。
 パソ通には大きく分けて大手商用ネットと草の根ネットがありました。大手と草の根の違いはおおざっぱに言えば有料か無料かで、有料の大手ネットでは(少なくとも管理者には)身元を明かさなければならなかったのに対して、無料の草の根ではたとえばいくらでも複数IDを取得できたり、現在の匿名ネットに近い状況がありました。パソ通カルチャーの半分はこうした匿名ネットワークから生まれてきたのは確かです*1
 しかし、ユーザの数は当然ながら大手ネットが圧倒的に多かったわけです。大手ネットで特に人数を集めていたのがPC-VANNIFTY-Serveですが、当時の知名度や料金システムからPC-VANが最初は優位に立っていたものの、やがてNIFTYが大きく参加者数を伸ばしていきました。その背景には、匿名性が強かったPC-VANに対して、NIFTYが全般的に実名主義をとることが多かった*2ゆえの安心感があったのではないかと思います。後発ながら実名主義を徹底したASAHI-Netが急成長を遂げたのも、これと関係あるのではないでしょうか。
 草の根系からネットに入っていったわたしとしては、NIFTYやASAHIの実名主義が『感覚的に』気持ち悪かったので、特にその点が印象に残っているのかもしれませんが。
 国策としてどうだったかは、なんとも言えません。考えたこともなかったけれど、匿名主体のネットカルチャーは国の制御が及ばない草の根から生まれ、インターネット普及期にヘビーネットユーザが定着させたものだということは言えると思います。

*1:たとえば「萌え」とか。誤変換をそのまま遊びに使って定着させてしまうのも、草の根系のカルチャーでした。

*2:フォーラムごとに規則がいろいろ異なっていたようで、一概には言えないのですが。