黙然日記(廃墟)

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産経抄は脱亜してどこへ行くのか。

 すっかり月1回ペースになっていますが、今年もよろしくおねがいします。

産経抄背信違約は彼等の持前にして 1月11日 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/180111/clm1801110003-c.html

 21世紀も1/6を過ぎた現在になって、こんな19世紀のヘイトスピーチが堂々と紙面を飾るとは、信じられません。《拓殖大学学事顧問、渡辺利夫さんの新刊『決定版 脱亜論』(育鵬社)》という文字の並びは、もはやギャグですね(渡辺氏は元拓大総長)。《福沢諭吉が現代に蘇ったら、何と言うだろうか?》。「私の脱亜入欧論は、渡辺氏や産経のようなレヴェルの低いものではない」と言ったことでしょう。文字通りの封建社会であった清・朝鮮にコミットして開化させるのは後回しにし、先に日本が文明開化を急いで、アジア全体の発展はそれから考えようという、訒小平思想を先取りしたとも言える考え方ではないでしょうか。文明至上主義であり、(自国至上主義ではない)良い意味での中華思想でもあります。
 仮に、福沢がそうではなく、根っからのアジア蔑視論者であったとしても、それと同等の蔑視論を公器に掲載する神経がわかりません。ここで入欧論を言うなら、ドイツやフランスでこんなヘイトスピーチを新聞に載せたら、少なくとも裁判沙汰(そして産経が敗訴)ですよ。

 長くなったので、従軍慰安婦問題の日韓政府間合意の韓国政府による見直しについては、簡単に。そもそもは、頑なな歴史修正主義に凝り固まった安倍晋三政権に対して朴槿恵政権が大幅に譲歩したものであり、本当の意味での問題解決、すなわち被害者への心のケアという当たり前の前提を取っ払ったものに過ぎません。
 そもそもは、安倍晋三氏(意見広告「THE FACTS」賛同人)という人物が「人間と向き合う」ことができないところに問題の根幹があるのです。首相以前に、政治家としての資格がありません。