黙然日記(廃墟)

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産経とBPOと安倍晋三政権。

【NHK「クロ現」問題】NHKの「事実歪曲」こそが焦点ではないのか? BPOの「政府批判」は本題隠しか… - 産経ニュース
http://www.sankei.com/premium/print/151115/prm1511150027-c.html

 三品貴志記者が吠えています。獅子吼ではなく、鎖をつけた痩せ犬の遠吠えを。
 報道の大前提として、事実の報道があります。NHKの「クローズアップ現代」がやらせで事実を枉げた報道をしていたならば、それは検証され、非難されなければなりません。BPOコメントとてこの問題を放置しているわけではなく、主眼はあくまでNHK問題への検証です。しかし、報道メディアが問題を起こしたからといって政治権力が介入してくるのなら、それに対してはメディアが一丸となって立ち向かわねばなりません。ことは、実業界への行政指導とは違います。メディアの最大の役割、権力監視機能が危機を迎えることになるからです。産経と三品記者、そしてNHKの個別番組に介入してきた安倍政権は、この点をまったく理解していないのでは泣くでしょうか。安倍晋三氏については今回だけでなく、2001年にも故中川昭一氏とともにNHKの個別番組へ介入を起こし、問題視されました。前回は議論が分かれる問題で中立性に文句をつけられそうな場合、今回はあきらかなでっち上げと、問題は異なりますが、NHKの弱みを見つけるとこれ幸いと介入し、自分の望む方向にControlしようとする欲求があることはあきらかです。そもそも現在の籾井勝人NHK会長の人事自体、安倍氏の肝煎りと言われています。
 安倍氏のターゲットがNHKなのは、その影響力とともに、制度上政治介入しやすいからで、朝日新聞やTBSに介入できるしくみがあれば利用しているだろうことは明白でしょう。メディアが「第四の権力」であることを理解していない、メディアによる政治批判を政治家は甘受しなければならないことがわかっていないのです。「そんな無茶な話があるか」と思うかもしれませんが、これが「第三の権力」、司法だったらどうでしょう。司法による行政・立法への批判、たとえば違憲判決を無視し、人事や予算で報復したら、それは許されないこと、民主主義の根幹に関わる危機だということは明らかだと思います。もちろん、司法がそうであるようにメディアにもチェック機能が必要ですが、それは行政や政治権力からはまったく独立していなければなりません。そのために現在はBPOがあるわけです。
 国営放送を独立法人のNHKにしたのは、「戦後レジーム」の一環です。(唯一の)放送メディアを国家権力が持っていたことが、戦争遂行の大きな原動力になったと判断されたからです。安倍氏にとっては、それも気に食わないのでしょう。しかし繰り返しますが、それはメディアの機能を理解していない証拠です。三品記者にも、同じことが言えるでしょう。