黙然日記(廃墟)

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産経書ヴと「正論」の日韓50年。

 近現代史についてわかったようなことを言っていますが、あんがい根本的なところを把握していなかったりしまして、戊辰戦争から明治維新に至る流れがよくわかりません。基本的に開国派と攘夷派が内戦をして攘夷派が勝ったのに、なんでその後開国したのかとか。そりゃ開国するしかなかったわけですけれども。

産経抄】前韓国大使の憂い 6月22日 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/150622/clm1506220004-c.html

 日韓国交正常化50年の記念日に、わざわざ対立を煽るコラムを書くのが産経抄です。従軍慰安婦問題がこじれたのは、事実と異なる朝日新聞記事が原因だと強調しています。しかし、一部に誤報やそれに基づく誤解があるとしてもその記事が、確実に存在していた従軍慰安婦問題の掘り起こしのきっかけになったことは事実です。産経新聞が、なにかそんなスクープをやったことがありましたかね。
 韓国の、悪い(と思う)ところを悪いと批判し、その一方で韓国に愛情を持った本を《いわゆる「嫌韓本」では、決してない》《「むしろ韓国の方々に読んでいただきたい」》と言える判断力があるのなら、なぜ産経は、日本を愛しながら日本(政府)の悪い点を指摘すると「反日」と決めつけるのでしょうか。思考が分裂しているとしか思えません。

【正論】日韓国交正常化50年 韓国で深化する「歴史の政治化」 拓殖大学総長・渡辺利夫 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/150622/clm1506220001-c.html

 50周年の記念日に、わざわざこういう人を呼ぶのが産経新聞です。まあ、産経のライターにはこんな人しかいないのだからしかたありませんが。
 それにしても。渡辺氏はいきなり、日清・日露戦争がまるで朝鮮の独立を助けるためだったかのように書いているのだから、呆れます。《帝国主義の時代にあっては併合以外に選択肢はなかった》とは大日本帝国にとってずいぶん都合のいい話で、朝鮮側の感情などまったく考えていないことがよーくわかります。併合時に併合賛成の一進会が存在したら、その後のこと(たとえば皇民化政策)も正当化されるとでもいうのでしょうか。自主独立派の東学党のことなんか、ひとっことも触れていません。触れたくないのでしょうね、結果的にせよ日本に虐殺されたことなど。
 「植民地時代のインフラ整備と賠償に相当する援助が韓国を発展させた」という、日本(の右派)に都合のいい史観を押しつけ、そんなものを拒否すると「反日だ」と言って相手を見下していればいいのですから、産経文化人は本当につくづく気楽な商売です。