黙然日記(廃墟)

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産経記者の本流観。

 6/17分です。ななかとは無関係です。

【安倍政権考】色あせた「保守本流」、現実は「安倍カラー」一色(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140617/stt14061719150005-n1.htm

 松本浩史記者の論考です。電波は少なめですが、産経新聞の現在のスタンスをよく表しているように思うので取り上げてみます。「保守本流」という言葉自体の認識が正しい(吉田茂の流れを汲む宏池会などを指す)のは、産経記者にしては珍しいところです。しかし、「いまや保守の本流は岸信介の流れを汲む清和会、俺たち清和会こそ保守本流」と高らかに謳っているところは、どうでしょうか。名前というのは、そういうものではありません。米国の共和党民主党は長い目で見れば政策にかなりのブレがあり、共和党の方がリベラルだった時代もあるのですが、名前を入れ替えたなんて話はありません。とにかく、「傍流」として扱われることが清和会なり産経なり松本記者なりにとっては、悔しくてしかたなかったのでしょうね。しかし、「保守傍流」なんて言葉はありません。あるとしても、鉤括弧に入れて使われるものです。「保守本流」の乗っ取りなど企まず、「真正保守」なり「右翼反動」なり名乗って、堂々と本家争いをしていればいいではないですか。
 保守本流の経済政策を財政出動主体(大きな政府)、傍流の政策を市場原理優先(小さな政府)と分類しているのもほぼ正しいのですが、それが「安倍カラー」にまで継続しているかのように言っているのは、どういうつもりでしょうか。アベノミクスはどう見ても、財政出動主体(第二の矢)の大きな政府路線です。それが受け入れられて高い支持率に結びついている、安倍晋三政権を支えているのは保守本流路線なのですが、その事実も都合よく無視しているようです。最初に書いたように、松本記者のこの論考は電波少なめで、論拠も正しいものが多いのですが、総論になるとなぜか自分たちに都合のいいものになってしまっています。非常に、産経らしい文章と言うべきでしょう。