黙然日記(廃墟)

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産経歴史戦の大陰謀。

 5/24分です。『おねがいマイメロディ』(特に無印)は、なんであんなに面白かったんだろう。「面白」という字と「自由」という字は似てますね。

産経抄】5月24日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140524/plc14052403040003-n1.htm

 「歴史戦」が一面コラムにまで進出してきました。第2部(2)前半*1で非難していた、国立大学での映画学講義の件を取り上げたのです。字数の制約があるとはいえ、映画学の授業であり映画上映そのものに意味があることや、騒いでいるのが学生少数(たぶん1人)であることなどはうまく覆い隠して、悪印象だけを狙ったつくりになっています。「メディアと詐欺」という講座を立てて、このテクストをまず読ませ、そのあとに背景を説明して、どう印象が変わるか学生に聞いてみる授業というのをやってみたくなりました。

【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点(4)前半】北朝鮮が仕掛けた「20万人性奴隷」 「親北」公言する韓国の反日団体(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140524/kor14052409570006-n1.htm

【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点(4)後半】後ろ盾ソ連崩壊 「慰安婦問題」に傾倒 朝日報道と呼応 北が世論工作(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140524/kor14052411120007-n1.htm

【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点】「慰安婦責任者の処罰要求」 韓国挺対協・尹美香常任代表の一問一答 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140524/kor14052413590008-n1.htm

 はい、来ました。陰謀論の敵は巨大な方が効果的です。水曜日デモで知られる韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)を“反日”団体と決めつけ(日本の民間団体と提携しているのですから、反日本政府ではあっても反日本とは言えません)、さらに「反日団体の背後には北朝鮮がいるのだ! ジャーン」とぶち上げています。北朝鮮にも当然、従軍慰安婦連行の被害者はいるので、この問題に限定すればタッグを組むことはアリでしょう。そして《ソ連》まで見出しに使ってあたかもコミンテルンの陰謀であるかのように印象づけようとしていますが、ソ連はまったく関係ありません。見出しに使う意味が、印象操作以外には不明です。《朝日新聞の報道》を目立つところ(「後半」の冒頭部)に持ってきて印象づけ、「コミンテルン北朝鮮−韓国反日団体朝日新聞による反日サヨクの巨大な連環が完成した! ジャジャーン」というわけです。産経関係のこの手の陰謀論は、もううんざりです。尹氏インタビューで、ソウル支局の是永桂一記者が《あなた、産経新聞ね》と見抜かれているところが、今回の大笑いポイントでしょうか。産経がいままでどれだけ挺対協をはじめとする従軍慰安婦問題に取り組む人たちを悪しざまに扱ってきたか、象徴するような発言ですね。
 「20万人」については定説として扱われていないことが、はっきりしているはずです。しかし産経は、彼らがこれを定説として扱っているかのように書いています。慰安婦の碑の訳も、正確ではありません。「性奴隷」という表現を、最初に使ったのが北朝鮮当局だとしても、現在「従軍慰安婦は性奴隷制度」とされていることと直接の関連はありません。現実を認めることなく陰謀に責任を押しつける産経の姿勢に、呆れるほかはありません。