黙然日記(廃墟)

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産経阿比留氏の記憶観。

 3/20分です。

【阿比留瑠比の極言御免】慰安婦問題、常識的判断を 体験談が描く実像(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140320/plc14032012130007-n1.htm

 読売新聞が河野談話について世論調査し、見直し賛成が50%だったというのですが、YOMIURI ONLINEを見ても該当記事がありません。いったいどんな質問項目だったのかも気になるところですが。
 中国戦線で衛生兵をしていた人の証言として、従軍慰安婦の性病検査は行ったが、《それは軍が女性を管理していたのではなく、軍の自衛策だった》という言葉を紹介していますが、自衛策として管理してたんでしょうに。《彼女たちの行動は自由だった》という証言も、帰還の自由があったのか、単にそのへんを散歩する自由があったのか、わかりません。公娼制度があったのだから問題はない、《戦後の昭和35年ぐらいまで、身売りは実際にあった》という証言も、問題の本質をまるでわかっていないものです。身売り(人身売買)は戦前でも違法行為でした。証言者が問題を理解していないのはしかたないとしても、嬉々として引用する阿比留氏に問題があるのは確実です。
 記憶は結晶化します。美化され、自己防衛のために捏造されます。そんな意識はなくても、「記憶がこうであればいい」という願望に従って、実際に変化してしまうものです。半世紀前の証言を検証するときには、こうしたことに気をつけなければなりません(強制連行があった派もなかった派もです)。非常識なことが行われていた現場に対して、後になって常識の枠内でその場面を描き直すこともあり得るのです。「軍の方から来ました」という無言の圧力が現場を支配するという、今からは想像できない状況が合ったのではないかということにも、注意を払う必要があるでしょう。