黙然日記(廃墟)

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産経阿比留氏の後知恵。

 3/7分です。

【阿比留瑠比の極言御免】朝日新聞の「特定秘密」(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140307/plc14030714250014-n1.htm

 見出しに「朝日」とつけると、ネットの反応がすこぶるよろしいようで、現時点で関連ブログ記事が16、ツィートが1000越えとなっています。アクセス数はその何倍になるかわかりません。「産経」と付けて8年間こつこつやってても、ユニークアクセス500〜700hit/dayぐらいなんすけどね。いやもちろん、500という数字は個人ブログとしてはたいへんなもので、皆様には感謝しています。
 「朝日新聞の特定秘密」という面白おかしい言い方は、特定秘密保護法の問題点を矮小化する意図があるのでしょうか。国家のリソースは国民のものですから国民には知る権利がありますが、私企業の朝日新聞社に対してはそうではありません。もちろん、メディア企業として公開できるものは公開する責任があるでしょうが、知る権利とは比較になりません。それとも本気で阿比留氏は、朝日新聞が国家に匹敵すると考えているのでしょうか。
 阿比留氏は、朝日新聞が1991年に出した従軍慰安婦に関する記事が捏造だったと断じ、現在も朝日はそれを隠そうとしているのだという筋でこのコラムをまとめていますが、そうでしょうか。問題の記事に事実と異なる部分がある(従軍慰安婦が女子挺身隊の名目で集められた、など)としても、それは関係者の記憶の揺らぎによるものであり、記事はインタビューを忠実に文章化したものと考えられます。意図的な行為を意味する「捏造」とは異なるでしょう。産経新聞の、たとえば「区役所か迷彩服自衛隊員の訪問を拒絶した」という、直近の出来事なのに関係者への取材も不十分で裏も取らず憶測混じりで作り上げた記事とは比較にならないでしょう。謝罪訂正していないという点も指摘できます。「禍根を残す記事だった」というなら、それは先に述べた朝日と産経の影響力の違いに由来するものとしか言いようがありません。また、問題があるというのなら、産経新聞は1991年当時、朝日新聞の該当記事に対して検証を行ったのでしょうか。阿比留瑠比氏は記者としてすでに産経に在籍していたはずです。当時は疑いもしなかったのでしょうか、それとも、検証する能力がなかったのでしょうか。これは、時代の制約によって検証ができなかったのだとわたしは考えます。言い換えると、2014年の時点で1991年の誤りを指摘するのは、後知恵というものです。「現代の価値基準で過去を断罪してはならない」というのが、産経歴史修正記事の決まり文句だったように思います(この理屈はもちろん間違っているのですが)。