黙然日記(廃墟)

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産経野口記者、惨めを極める。他。

「【軍事情勢】惨めの極み」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/543796/

 というわけで、野口裕之九州総局長です。今回はフィリピンの、主に海軍力に関してまとめており、まあ、まとまっているだけマシとは言えますが。
 敵対国ならともかく、友好国であるフィリピンに対して《惨めの極み》よばわりする神経がわかりません。「惨め」のひとつは、比海軍の主力艦として米国から中古艦を購入したことを指しているようですが、ありふれた話ではないのでしょうか。野口記者ら産経論説陣が脅威を叫ぶ中国海軍だって、ロシアなどから旧ソ連の中古艦を購入して増強しているのですから、惨めな海軍に対して脅威を叫ぶという戯画的な構図が浮かんできます。また、かつて米軍基地を撤退させたフィリピンが米国から購入したことも、基地は撤退しても同盟関係は維持しているのですから、あたりまえの話です。
 フィリピン米軍基地の撤退は、フィリピン側の要請もあったとはいえ、米軍の戦略として妥当だと認められたから実行されたものでしょう。その後の「中国の脅威」を見誤ったという点では、米軍も同罪でしょう。現在の米国が沖縄に固執しているのも、フィリピン基地なき後の台湾海峡有事を懸念しているだけで、日本を防衛しようという意図ではありません。本当に朝鮮半島有事に備えるなら、さっさと九州本土に移転しているでしょう。
 で、コメント欄でのid:pipisanさんによるご教示ですが、Subic海軍基地を《アジア最大の海軍基地スービッグ》と書いてしまっていますね。これは悲惨だ。ビックカメラを「ビッグカメラ」と呼んだり、「ベットで寝る」とか言ってしまう人なのですかね。それと、《まさに「フィリピン事」ではない》という表現があるのですが、これは本気で理解不能です。比軍と自衛隊を比較する文脈で出てくるので、「他人事ではない」「ひと事ではない」「よそ事ではない」といった意味だろうと推測してみましたが、「ン」しか合ってねえよ! 駄洒落にもなんにもなっていないので、本当にどういう意図だか不明です。通じないジョークほど惨めなものはありません*1

【ジョークは語る】「アダムとイブは北朝鮮人だ」 脱北者 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120129/kor12012912560002-n1.htm

 通じないジョークといえば、こんなコラムがありました。各国特派員の持ち回りですが、今回はソウル支局の加藤達也記者です。紹介されているジョークがどれも、旧ソ連アネクドートをパクって「ソ連」を「北朝鮮」に置き換えただけ。状況が違うので、面白くも何ともありません。英国人とフランス人とロシア人の会話ならまだ状況が想像できますが、英仏と北朝鮮人ってどんなシチュエーションですか? 実際にこんなジョークが脱北者のあいだで交わされているのか、加藤記者は本当にそれを面白いと思ったのか、問いただしてみたいところです。

産経抄】1月29日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120129/dst12012903030001-n1.htm

 産経新聞の真岡事件へのこだわりは、いささか異常だと感じるほどです。やはりあれですかね、この事件を描いた映画『氷雪の門』のDVD通販元が世界日報ということを暗黙に宣伝したいのですかね。
 終戦直後、南樺太ソ連軍が攻め込んできたとき、真岡郵便局の電話交換手9人が最後までつとめを果たし、最後は集団自決しました――という産経好みの「美談」なのですが、この話を現代の道徳教科書に載せろ、とか言っています。いったいどういうふうに載せて、どういう教訓を導こうとしているのでしょうか。「襲われる前に自殺しろ」ですか? 児童生徒の自殺が深刻な問題になっている、この現代に。また、集団自殺を美化するのはカルト宗教だけです。

【主張】18歳選挙権 まず憲法論議を進めよう - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120129/plc12012903070001-n1.htm

 18歳成人制度は民主党が主導しているから気にくわない、自民党憲法改正案を出そうとしているからそっちが優先だ。要約すると、そういう主張です。18歳成人制度は改憲手続きに関連した国民投票法の規定に始まっていて、関連法制を整備する、つまり18歳選挙権を実現しないと投票法の趣旨が損なわれることになります。手続きを先に定めなくては改憲論議も無意味になるでしょう。もしかしたら産経や自民党は、改憲論議さえしていれば(支持層を固めることができるので)、実際に改憲できなくてもいいと思っているのではないでしょうか。

*1:それこそ、わたしも他人事ではないのですが。