児ポ法民主党改正案提出。
民主党:児童ポルノ法改正案を衆院に提出 実効性と人権への配慮を両立
http://www.dpj.or.jp/news/?num=15504
新旧対照表(現行法と改正案による改正結果の比較,PDFファイル)
http://www.dpj.or.jp/news/files/090319child-shinkyu.pdf
衆議院-議案
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm
(提出済みの与党案本文)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16901032.htm
19日に衆議院に対して、児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案が民主党から提出されました(民主党案)。自由民主党・公明党による同法改正案(与党案)もすでに提出され、今後衆院法務委員会で審議されることになります。
これから衆参で審議され成立にいたるのか、その前に解散総選挙となれば廃案となるわけですか*1、とりあえず与党案か民主党案か、あるいはその折衷案となって成立するのか、正念場を迎えることになります。
以下、ざっとしたまとめ。民主党案はすでに発表されていた骨子案とほぼ同じ内容ですが、改めて新旧対照表を眺めてみると、購入罪・取得罪の創設以外は、この法律本来の目的に照らして合理的な改正だと感じます。購入罪・取得罪は、販売・頒布がすでに禁止されている以上無意味な規制強化であり微罪逮捕の口実を増やすだけなのですが、もちろん与党案にある単純所持罪よりはマシです。
さらに、与党案にある「漫画、アニメーション、コンピュータを利用して作成された映像、外見上児童の姿態であると認められる児童以外の者の姿態を描写した写真等」への規制方針が民主党案にはまったく含まれていないことが重要です。これは重要であると同時に当たり前のことであって、児ポ法*2はポルノグラフィーを含めた表現行為を規制する法律ではなく、あくまでも実在の児童を虐待や搾取から保護する法律なのです。
また、民主党案では「児童ポルノ」という名称が廃され「児童性行為等姿態描写物」という名称になって、これがポルノ規制法ではないことが明確化される点も、同じように重要です。
カマヤン氏がすでにご指摘されていますが*3、所轄官庁が厚生労働省であると明確化されたこともポイントです。これは上述の法律の意義を確定させると同時に、警察の恣意的運用に利用されることを少しでも防ぐ効果があるかもしれません。
購入罪・取得罪だけは、なんとかならないですかねえ。でっち上げ逮捕などには利用できないような条文にはなっていると思うのですが、なにがどうなるかわからないし。
それにしても改めて比較してみると、与党案はひどい。本当にひどい。この法律本来の意味を忘れ、立法府の本来のあり方を忘れ、国民主権の基本原則を忘れた、児童の人権を口実にした国家統制のための国民取締法であるとしか思えません。少なくとも、法体系を合目的化するために改正するという目的がまったくないことははっきりしています。