古森義久氏、理解の範囲に落とし込む。
13日分を意図して公開されたエントリだろうと思いますが、タイムスタンプは12日23時過ぎになっています。まさかまた13日に新エントリ出さないだろうな。
中国からアメリカ議会へのハッカー攻撃――下院本会議で2議員が発表 - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/607253
"hacker"という言葉の本来の意味を解説した*1のと入れ違いにこういう見出しを書かれると、タイミングの悪さにげんなりします。古森氏とわたしはよほど相性が悪いんだな。いいはずはないか(笑)。悪意をもって他人のコンピュータへの侵入*2などをする奴は「ハッカー」ではなく「クラッカー」と呼ぶのがふつーなので、以下はそれで通します。
そもそもの問題として、公開されているサーバならともかく、個人のパソコンがクラックされたっていうのは、いったいどんだけ間抜けなんでしょうね。いや、わたしなんかには想像もつかないような高度なクラッキング手法があるのかもしれませんけどね。ソーシャルクラックとか。なんにしても、連邦議員の事務所ともなれば、セキュリティにはいちばん気を遣わなきゃいけないんじゃないでしょうか。
せっかく古森氏が記事を書いているのに、産経電子版にはなぜか共同通信の配信記事しか出ていません。
米人権派にハッカー攻撃 中国から侵入図ると議員 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/152529
中国“うちは途上国、ハッキングなんて出来ません” - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/152760/
関連する下のニュースも面白いのですがそれはそれとして、まあしょうがないので、古森氏の記事についてはblogエントリの方を参照します。
この古森記事は、「中国政府が米国議員の動向を探ろうとしている」という結論を出していますが、これはどっから出てきた話でしょうか。この記事の中にある両議員の被害報告を読むかぎり、盗まれたデータは「中国の反政府活動家や人権活動家に関する大量な資料(原文ママ)」なのですよね。もちろん実際には他のデータも盗まれているはずですが(というか、コピーしてみないと求めているデータかどうかわからないことが多いのですから)、両議員は、活動家たちの個人情報などを特に重要だと考え、報告したのでしょう。
このクラッカーが中国政府関係者だったとして、まず非合法手段を使ったという問題があり、事実なら非難されるべきです。ただその次として、「政府が反政府活動家のデータを収集する」のと、「他国の議員の動向をスパイする」のとでは、まったく別の問題になってしまいます。どちらも重大な問題ですが、意味が違うのです。そして、この事件がスパイ活動だと示す根拠は、この記事中にはありません。
もしかしたら古森氏は、両議員やFBIがなにを問題視しているのか、「反政府人権活動家の個人情報が当局に知られる」ことがいかに重大なのかを理解できなくて、自分が理解できる「他国の動向をスパイする」というレベルに落とさずにいられなかったのでしょうか。それともやはりここで、「古森さん、また捏造ですか?」と問いかけるべきなのでしょうか。
*1: http://d.hatena.ne.jp/pr3/20080612/1213280646
*2:コメント欄のご指摘により恥ずかしい間違い修正(06/14)。