産経と南京大虐殺捏造説の捏造。
もう昨日のことですが、南京大虐殺のいわゆる“まぼろし派”筆頭である東中野修道氏の著書に事実誤認があり名誉毀損に当たる、とした裁判で、東京地裁が東中野氏側敗訴の判決を出しました。「資料の解釈は妥当ではなく、学問研究の成果にも値しない」という三代川三千代裁判長の判決文が印象的です。近現代史が専攻ではない（正式な論文も1本もないらしい）とはいえ、仮にも歴史学者を名乗る東中野氏のメンツ丸つぶれですね。
この判決を各紙がどう報じたか、ほぼ記事が出た順番に並べてみます。
2007/11/02-17:57 著者に400万円賠償命令＝南京大虐殺めぐる書籍−東京地裁
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007110200758
「南京虐殺」本で名誉棄損
http://www.47news.jp/CN/200711/CN2007110201000659.html
東京新聞:「南京虐殺」本で名誉棄損 ４００万賠償命じる:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007110201000659.html
南京虐殺本訴訟：中国人原告が勝訴 著者に賠償命令−−東京地裁 - 毎日ｊｐ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20071103ddm012040145000c.html
asahi.com：南京大虐殺本「被害者と別人」 名誉棄損認定 東京地裁 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/1102/TKY200711020441.html
- 読売新聞
「南京大虐殺」本の名誉棄損訴訟で著者らに賠償命令 : 社会 : YOMIURI ONLINE（読売新聞）
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071102ic22.htm
NIKKEI NET（日経ネット）：社会ニュース−内外の事件・事故や社会問題から話題のニュースまで
書籍の著者側に400万円賠償命令・「南京大虐殺」で地裁
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20071102AT1G0202G02112007.html
南京大虐殺生存者が勝訴/東京地裁 “ニセ被害者”は名誉棄損
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-11-03/2007110314_01_0.html
「「別人と立証できず」南京事件、著者らに４００万円支払い命令」事件です‐裁判ニュース:イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/96704/
最後の産経の記事ですが、本来の産経新聞のサイトであるMSN産経ニュースには配信されていません。引用したiza!の記事も、RSS配信がなく、「東中野修道」の検索でもなぜか見つからず（「イザ語辞典」にも登録されていない）、念のため「南京」で検索してみたらやっと見つかりました。ちぇ。見つからなければオチに使おうと思ったのに。記事そのもののタイムスタンプは、じつは時事通信の次に早くなっています、念のため。
冒頭に挙げた判決文の印象的なフレーズを、日経と産経だけが引用していません。どちらも非常に簡素な記事で、日経はいつものことなんですが、やっぱり産経は報じたくなかったのかなあ。
これはきっちり資料を調べた上ではなく印象からの発言ですが（歴史学者じゃないからいいの・笑）、産経新聞は東中野氏に対して比較的冷淡なのかもしれません。雑誌「正論」には登場しますが本誌の「正論」欄には（少なくともここ最近は）執筆していないようだし、そもそもこの判決報道に限らず、検索対象になる最近半年の記事で東中野氏の名前を含む記事が他に1件しかない*1というのは、かなり予想外でした。南京“まぼろし派”として歴史修正主義者の代表格である彼の主張は、産経の論調とも一致しているはずですから。現在のつくる会寄りの立場らしいので、教科書改善の会をバックアップする産経とは相性が悪いのかなあ？ 行き過ぎた主張をする東中野氏を産経もさすがに見限っている、という可能性も考えられますが、そういうまともな判断をするようには、どうも思えません。
