黙然日記(廃墟)

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産経、大逆転する。

小沢代表、求心力にかげり 「連立の意思あった?」党内動揺も-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/96668/

 安倍という人がアレだったのは今更言うまでもないのですが、福田という人もじつはなかなかアレだったようです。物心ついたころから政治の世界の中枢を見てきたはずなのですが*1、この政局観のなさは、いったいなんなんでしょうね。今回の連立申し入れで、自民党内での福田総裁の求心力低下が危ぶまれるところです。
 ところが、さすがはわれらが産経。話を完全にひっくり返してみせました。民主党“若手”の声として「代表が話を持ち帰ったのは本人に大連立の意志があるからではないのか」という疑念を持ち出し、それが党内求心力の低下につながるだろう、と話を展開させます。連立申し入れというのは最大の政局であり、それなりの交換条件も出されたようなので(給油特措法成立が前提というのは小沢氏側から見ればみればほとんど魅力のない提案だと思いますが)、どんなにばかげた状況だと思えてもいちおう党内の意志は確認するものだろうなあ、と素人のわたしなんかでも思うのですが、この“若手”にはそういう観念もないようだし、たいして影響力もなさそうなこの疑念からここまで話をふくらませる産経も産経です。
 そもそも“若手”って誰よ、という疑問もあります。以下、非常にうがった推測ですが、“民主党の若手”であって“民主党の若手議員”とは書いてありません。平の民主党員でも「党内の声」ではあるし、党員なんて住所と名前を書いて年間何千円か払えば誰でもなれる――たとえ産経新聞社員でもなれるものです。ソースの確実性をそこまで憶測はしなくても、民主党議員にもいろんな人がいて、あの山谷えり子ですらかつては民主党議員(民社党系)だったわけですから。
 そのほかの部分もいい加減きわまりない記述が多くて、たとえば“幹部”の「小沢代表はこれからめちゃくちゃにたたかれて、血みどろになるのではないか」という発言を紹介していますが、これも文脈が不明で、どこから引っ張ってきたやらわかりません。また、記事全体で「小沢代表には連立受け入れの意志がある」と印象づけておきながら、最後近くになって「小沢氏や党執行部は、小沢氏自身が大連立に前向きだったことを認めてはいない」とあっさり投げています。ここ最近の発言を追っても*2民主党側から連立受け入れを示唆するまともな発言というのはなかったと思います。大連立は自民党側と一部マスコミだけが一方的に唱えていたことだと思うのですが、産経新聞のこの件に関する認識は、いったいどうなっているのでしょうか。


 iza!には産経新聞の他に夕刊フジやサンスポの記事も配信されるので、この記事を見た瞬間にあわてて出所を確認してしまったのですが、MSN産経ニュースの方にも同じ記事が出ているので、たぶん産経新聞の記事なのでしょう。それにしてもこの、ほとんど根拠のないところからここまでとんでもない結論を導き出す手法は、夕刊フジとの人事交流があるからなのか、最初から産経新聞社クオリティということなのか。マッチ1本の煙を山火事に見せかける捏造体質には、感嘆する以外ありません。

追記。(02:46)

 朝日にはまったく逆の記事が出ていますね。読み比べてみるとおもしろいです。特に、どの発言がだれのものかという説明が。

asahi.com:首相真意、身内も? 急過ぎ・密室… 連立打診
http://www.asahi.com/politics/update/1103/TKY200711020517.html

*1:二世政治家に評価できる点があるとしたら、そうした経験の長さでしょう。他の価値観を身につける機会が少ないことをどう評価するかは別として。

*2:個人的な事情で先週末あたりはニュースをチェックできなかったので、なにか見落としているかもしれません。